【書籍】ハンセン病療養所に生きた女たち

さんご存知のように(知らんか)私はかつて結婚というものを「合法的に子どもを持つための手段」と公言してはばかりませんでした。未婚の母なる言葉がほぼ死語になっている今とは比較にならず、嫡子という法律用語が大手を振って歩いていた昭和の時代の話です。産んだ子どもが嫡子となるためには、婚姻というシステムにのっからないといけなかったのです。 

 

その愛を誓う神を持たない人は、法律に誓わせられたわけですよ。

 

というわけで(どういう?)子どもを持つ気がないというカップルが結婚することの意味が、マジで理解できませんでした。子どもいらんのやったら結婚せんでええやん?と思ってました。

 

過去形であるのは、いろんな問題の行き着く先がほとんどといっていいほどパートナーシップであるという事例を山ほど見せられ、また、義務ではなく権利を発生させるための容れ物としての婚姻ってのは必要なのだな、と気づかせられたからです。

 

本日のテキストです。

 

 

 

ハンセン病療養所に生きた女たち /福西 征子

 

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ハンセン病患者の方々が療養所に隔離され、QOLもへったくれもない過酷な日々を強いられたのは多くの人の知るところですが、あえて「女たち」とされているということは、女ならではの苦労が連ねられているのであろうな、男性なら断種、女性なら堕胎、と子どもを持つことを許されなかったという悲哀について書かれているだろうことは容易に想像できました。

 

で、今かいてて気づいたんですが、女性の不妊手術ってのは行われてないのですねー。男性の種を絶ってしまえば当然女性が妊娠することはない。万が一妊娠したなら、もしくは療養所に来る前に妊娠済みであったら、それは堕胎という処置しかないのです。

 

断種、堕胎についてはこれまでのハンセン病関連書物でもさんざん取り上げられていたことですが、本書で大きなテーマとなっていたのはジェンダーでした。

 

外の世界と療養所では、男女の違いに差があるのか。あるならそれはなぜなのか。

 

外の世界以上に女は権利がなく弱い立場であった。それは、患者作業という名目で経費節減のために入所している患者が療養所を運営するための作業をやらされたこと、そして力仕事は男性患者がもっぱら請け負っていた、より必然性の高い作業を請け負うことができない、目に見える成果につながらない作業を担当した女性の立場が男性より低くなるのも必然。

 

しかし女性は、か弱い守ってやるべき存在として男性の心に安らぎを与えるという面もあったことでしょう。弱いものを前にすると、人は優しくなれるのですよ。もちろん、自分に最低限の余裕があってこそ、ですが。

 

そして外界から隔絶されているがために、時代の変化に取り残され明治以降の家父長制、男尊女卑的なものが温存されていたこと。

 

そして、女性の立場というか地位をあげさせなかったのが、子どもを産むことができなかった、ということが指摘されています。弱い女性を底上げするのは出産だったのです。女は弱し、されど母は強し、という言葉もありますように。産めよ増やせよの時代観の中では、産めるということは女性にとって大きな力だったのでしょうね。

 

療養所内で、夫と妻、家族はそれ以上増えないのです。生まれ育った場所とも縁を切られています。夫婦のつながりの強さは療養所外とは比べ物にならないのでしょう。自分とだけつながってくれる人、それを求めて出口のない療養所であえて結婚という形のパートナーシップを築かれたことと思います。

 

パートナーを得ることのメリットがはっきりしていたので、療養所では本人同士が望まぬカップリングもあったようですが(本末転倒だな)、たとえ受け入れざるを得なかった結婚であったとしても、大部屋から夫婦だけの部屋を貰えることだけがメリットであったとしても、向き合える対象があったということは生きて行く上でなんらかの支えになったことでしょう。

 

子どもを産む、という女にしかできないことを奪われた女性が出産以外で能力を発揮することは許されませんでした。知性、聡明さ、を表に出せば「女の分際で」と抑えつけられる。自分の持って生まれたリソースを発揮できていないがゆえに、己は無力で無価値なんだ、と思い込まされていた女性ばかりだったようです。療養所外での生活が長かった人ほど、所内の生活は自分を出せない歯痒さとの戦いだったようです。

 

ほんとは力を発揮できたらよかったけれど、それが出来ない環境の中で、本意なものではなかったとしてもパートナーのために存在できている、ということは多少なりとも自信につながったのではないでしょうか。

 

人はひとりでは生きていけません。絶望しかなかった療養所で、支え合うパートナーは必須だったのですよ。互いがパートナーだ、という認識を強くするために結婚という制度に乗っかる事は必要だったのでしょう。

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