【献血ルーム事例】私のしあわせ

さ、彦摩呂の口調でみなさんご一緒に。

献血ルームはネタの宝石箱や！！

みなさんご存知のように（知らんか）、献血ルームでは占いバージンの方が多いです。無料でなんかやってる、ちょっと診てもらおうかな、という感じで来られます。私は純然たる占い師ではないので、生憎とみなさまのバージンは守られたままですよ。

興味本位で来られるので、特にお題がない場合も多いです。悩みはない、とおっしゃっても、なんかかんか引っ張り出してしまうのですけどね。

しかし、１年に１回くらい、まったく何も突きようのない方がいらっしゃって、もう好きなようにやって、としか言い様がないのです。何も提示することが出来なくて困るのです。

昨日もそういう方がいらっしゃいました。

うら若き女性（ちなみに美人）、日干は庚（かのえ）だったかな、イヤーカードは「星」。参考エントリー：夢を掴みに行く前にやっておきたいこと

夢はなんですか？とお尋ねしましたところ

ない、と瞬殺。

カード開いたら、現状に「星」が出ました。お尋ねしました、夢はないですか？と。

ない、と瞬殺。

切り口を変えることにしました。１年後、こうなっておきたい、というのはないですか？と。

ない、と瞬殺。

現状で満足している、とおっしゃるのです。

また切り口を変えることにしました、満足している現状で、これを失ったら困る、というものはないですか？と。

ない、と瞬殺。

手放すことになっても、リセットすることになれていいし、必要なものはまた手に入る、と。

似たようなケースが思い起こされましたよっ。

参考エントリー：遅刻してしまうようになったのはなぜ？

これまでの人生、だいたいが思い通りに進んで来られたので、挫折を味わったこともないそうです。ほんで、何かを掴むために頑張ったとか苦労したということもないそうなのです。

お手上げです。

手も足もでない。

あ、そういえば、と話してくださったこと。交際を求められているようなお相手がいるそうなのです。まだ付き合ってはいないそうなのです。でも件の彼氏さんは、結婚を匂わせているそうなのです。

でも私、結婚願望もないし

問題というのは、自分が求めるものと現実とのギャップですから、求めるものがなければ問題が発生しないのは当たり前です。

なぜ結婚したいと思わないのか、というとこは穿り返したいとこでしたが、ご本人が問題とされてないことにそれ以上突っ込むことはできません。

結婚願望はないとしても、幸せな家庭のイメージとかなんかあるだろ、と思い、「あなたにとって幸せとはなんですか？」とお尋ねしたのですよ。

すると、「では、あなたの幸せはなんですか？」と、まさかの切り返しでしてね！！

まったく何の心構えもないとこに問いを投げかけられると、思ってもいないものが出てくるのですね。

考えこむこともなく、私は答えました。

えー、これ、マジな話で恥ずかしいんですけど、と。この仕事をしていて、いろんな方のお話を伺っていて、小さい頃の傷ついたものとかを掘り出す作業があるんですけど。そこで出てくるものがですね、せつなくていじらしいんですよ。で、みんな宝物を持ってるんですよ。忘れていた大切なものを思い出すんですよ。その光景がですね、映画のワンシーンのようにしみるんですよ。ひとりひとりの人生がそれぞれ感動のドラマでしてね。宝物を取り戻していかれる再生の物語に立ち会えることがですね、私の一番の幸せなんです。

いやー、自分でもびっくりしました。こんな言葉がスラスラと口をついて出てくるなんて。

似たようなことあったな。

参考エントリー：私はなぜ西成が好きなのか

不意をつかれると本音が出るって感じですかねー。いやー、話しながならこっぱずかしかったんですけど、この気持ちに嘘偽りはありませんわ（きっぱり。

常々思うのです、私が重松清くらい文章を巧みに書けたなら、みなさんのちっちゃいちゃんのお話を滂沱の涙の物語にできるのに。そしたらみなさん自分のことを、さぞかし愛おしんでくださるだろう、と。

ずっと姿を隠していたちっちゃいちゃん、それがやっと声をあげてくれたのです。その声が届いた最初の瞬間が、問題が起きる時なのです。そこからちっちゃいちゃんを探しにいきます。

ちっちゃいちゃんと再会していただけた時、それはあなたが忘れていた大切な宝物との再会の瞬間でもあるのです。それが美しい物語でないはずがないじゃないですか。